大坂商人の心得として、以下の言葉があります。
「商」は「笑」にして「勝」なり。
「笑」を「昇」すれば「商」は「昌」なり、「笑」を「省」すれば「商」は「小」なり。
「」の中身は全て「しょう」と読みます。
大坂商人の心得について説明します。
言葉の意味
上記心得は、「商いは笑顔が大事、笑顔が向上すれば商売は繁昌し、笑顔が少なくなれば商売は縮小する」という意味です。
大阪で暮らしていると、自分が笑顔でいるだけでなく、相手にも笑顔でいてもらおうという配慮が感じられます。
お互いに笑顔になれる商売をすることが大切ということでしょう。
浄土真宗の門徒として有名な近江商人(滋賀県)の心得に「三方良し」があります。
「売り手良し」「買い手良し」「世間良し」の三方を満足させなければならないということで、
「売り手と買い手が満足し、さらに地域貢献、社会貢献になる商売をしなさい」ということです。
大坂商人と同じように相手や周囲の利益も考えることを重要視していたことがわかります。
この心がけと仏教には、とても密接な関係があります。
仏教は利他の教え
大坂商人も近江商人も共に、浄土真宗の門徒が多いことで有名です。
そのため上記のような利他の心がけは、親鸞聖人の教えによるものだとも言われます。
親鸞聖人の教えについて確認しましょう。
自利利他について
仏教は「自利利他の教え」と言われます。
自利とは、自分(自)の幸せ(利)、
利他とは、相手(他)を幸せ(利)です。
自利だけでもありません。利他だけでもありません。
両方そろって仏教の精神です。
自利がそのまま利他になる。
利他がそのまま自利になる。
仏教の根幹は因果の道理だからです。
お釈迦様は、幸せになりたければ、相手のことを思いやり、困っている人がいれば手を差し伸べ、助けてあげなさいと勧められています。
反対に自分の利益のことばかり考えている人を、我利我利だと言われ、厳しく戒められます。
自分さえよければという我利我利の心は、知らず知らずのうちに相手を傷つけ、自分も不幸となってしまうからです。
自利利他と我利我利についてもっと知りたい方は、地獄と極楽の食事風景の話の記事をお読みください。
弥陀は与えることだけを考えておられる
親鸞聖人の主著、教行信証の冒頭には、以下のようにあります。
謹んで浄土真宗を按ずるに、二種の廻向有り。
『教行信証』教巻
一には往相、二には還相なり
浄土真宗とは「阿弥陀仏の本願」のこと、廻向とは「与える」という意味です。
つまり阿弥陀仏が私たちに与えてくださるものに、往相と還相の2つがあるということです。
また親鸞聖人は和讃にこのようにも教えられています。
如来の作願をたずぬれば
正像末和讃
苦悩の有情をすてずして
廻向を首としたまいて
大悲心をば成就せり
前半の二行は、「阿弥陀仏の本願を建てられた目的は、苦しみ悩む人々を見捨てずに」という意味です。
後半二行は、「私たち衆生に与えることだけを目的として、南無阿弥陀仏の大功徳(大悲心)を完成してくだされた」ということです。
私たちは助けても喜ぶ心もなくお礼の心もない者だとお見抜きなので、南無阿弥陀仏を与える一つで絶対の幸福へ助けようとされているのが、阿弥陀仏の大慈悲なのです。
編集後記
今回は大坂商人の心得から、与えることの大切さを学びました。
私たちも幸せになりたければ、与えることだけ考えればいいと教えていただきます。
取ることばかり考えていてはだめです。
難しいことではありますが、阿弥陀仏の真似でもさせていただきましょう。
和顔愛語など心がけしだいで、いくらでも与えることができます。
浄土真宗親鸞会大阪会館を、笑顔を絶やさず、自利利他に心がける親鸞学徒の集まりにしていきましょう。
