今回は大阪で塾講師をされているN嶋さんを紹介します。
学徒の子供さんへ勉強を教えるなど、利他心にあふれる学徒です。
プロフィール
N嶋さんは、1993年3月に、和歌山県日高郡由良町で生まれました。
由良町は、石灰岩でできた海岸が有名で白崎海岸は日本のエーゲ海と言われています。その幻想的な風景は万葉集にも詠まれ、石碑として紹介されています。
◎妹がため玉を拾ふと紀伊の国の 湯羅の岬にこの日暮しつ
意訳:家なる妻のために美しい石を拾おうと思って、紀伊の国の由良の岬で今日の一日をすごしたことだ。
◎白崎は幸くあり待て大船に 真楫しじ貫きまたかへり見む
意訳:白崎よ、波静かで美しいままでいてくれ。大船に多くの梶を取りつけてまた帰りに眺めたいから。
◎朝開き漕ぎ出て我は湯羅の崎 釣する海人を見て帰り来む
意訳:朝一番漕ぎ出し、由良崎で釣りをしている漁師を見て帰って来よう。
◎湯羅の崎潮干にけらし白神の 磯の浦廻をあへて漕ぐなり
意訳:由良の崎は今潮が引いているらしい。白神のあの波の荒い磯の浦を、あえて漕いでいるよ。
このような文学的な環境も、今のN嶋さんへ影響を与えているのかもしれません。
家族
家族は、両親と双子の姉と5人家族です。
父は漁師をしており、体格もがっちりとした海の男で、アジとかサバとか沿岸漁業で一本釣りをしています。母は優しい専業主婦。
双子の姉とは、小さいころ片方とよく口喧嘩していて、片方が止めに入るという関係がつづいていましたが、大人になり大阪に出てきた頃は、姉と三人で暮らすほど、仲良くなりました。今は姉は2人とも結婚し、別々に暮らしています。
子供の頃の中嶋さん
N嶋さん自身は、海で泳いだりして遊ぶことはあまりなく、将来漁師になりたいという気持ちもありませんでした。
遊ぶとしたら学校を公園代わりにして、休日も学校で遊ぶことも多かったです。
また学校以外では、自然と戯れて、川で葉っぱを浮かべて葉っぱの流れを追いかけるということを繰り返していました。「今思えば何が面白かったのかわからない」と呟いています。
小学生や中学生の頃から、勉強を人に教えるのが好きで、「宿題を見せて」と言われるより、「宿題を教えて」と言われたほうが嬉しかったといいます。
そこから夢は教師になることで、子供の頃は周囲に塾がなく、自分も塾へ通っておらず、塾講師になりたいとは思ってはいませんでした。
進学と進路
中学生の頃は数学が好きだったN嶋さんですが、高校受験の時、国語や英語の成績がよく数学の点数が悪かったことや、有名進学校だったこともあり、ものすごく数学ができる人が近くにいて圧倒されたため「自分は文系なんだ」と思い込むようになりました。
高校2年のときに論語を読み、「言葉」に関心を持つようになり、大学は大阪府立大学(現大阪公立大学)の人間社会学部言語文化学科に進み、言葉の成り立ちについて勉学に打ち込み、首席で卒業しました。
進路を考えたとき塾講師になろうと思ったのは、小さい頃から教えるのが好きで、大学生の頃はアルバイトで塾講師をしてやり甲斐を感じており、教えることに特化した職業に就きたいと考えたからでした。
趣味
趣味はアニメ鑑賞と旅行です。
アニメを見るようになったのは、社会人になってから。新入社員のときに夜遅くまでやる仕事が辛過ぎて、ストレスの発散としてアニメを見始め、想像力豊かなストーリーや描写に無限の可能性を感じ、アニメの魅力にはまりました。
旅行が好きで、なぜかだいたい旅行先は海辺になります。意識してはいないのですが、無意識に故郷に似た場所を求めているのかもしれません。
質問:仏教を聞いたきっかけは?
きっかけはアニメについて仏教の視点から学べる勉強会に参加したことでした。
当時、他の社会人サークルにも行っていましたが、ビジネス系ばかりで私の求めているものではありませんでした。
アニメはとても哲学的だと考えており、哲学を学びたかったときに、アニメと仏教の勉強会に参加しとても衝撃を受けました。
そのあと主催者の方と一対一で仏教の話をしてもらい、さらに理解を深めました。
仏教で一番関心があった内容は?
最初は「因果の道理」を聞かせていただいたとき、とても共感し納得しました。
今は「自利利他」の教えを特に大事にして、実践していきたいと考えています。
教育業界でも利他心はすごく大事と言われ、やろうと思えばどこまでも生徒のために時間を費やせるので、体や心がボロボロになってもやらなければならないと考え、頑張り過ぎていたことがありました。
しかし「中道」について教えていただき、自己犠牲と自利利他の違いを知らされました。
琴の弦は、緩みすぎても張りすぎても良い音は出ません。自分が動けなくなって、続けられなくなると、結果的に自分にとっても相手にとっても不幸になってしまいます。
自利利他を実践していきたいと思います。
仏教を聞き続けようとおもったのは?
もともと実家の宗派が浄土真宗だったので、正信偈を知っており、昔から正信偈に馴染んでいました。
私は知らず知らずのうちに、阿弥陀仏とのご縁をいただいていたように思います。
親鸞聖人の教えに対して抵抗なく学ぶことができ、聞き続けようと思えました。
また同じ会場でよく一緒に聞く、青年の法友や先輩学徒のおかげでもあります。
後生の一大事の解決のために、一緒に進ませていただけるのがとてもありがたく思っています。
大阪会館についてどう思いますか?
私が親鸞学徒となったときには、すでに大阪会館が建立されていましたが、いつ行っても綺麗にされており、親鸞学徒の先輩方がとても綺麗に管理されていて、素晴らしく思います。
今後の抱負
これから「教学をもっと勉強したい!」と思っています。親鸞聖人の教えにもっと親しんでいきたいと思います。
大学で文法について詳しく学んだので、以前大阪会館で親鸞聖人のお言葉の意味を、文法から解説したことがあります。
文法がわかることで意味がより正確にわかり、誰かに話をする際にも正確に話ができるようになると思います。また需要がありましたら、ぜひ話をさせていただきたいです。
そして親鸞学徒の子供さんに勉強を教えたり、青年がやっている行事でプレゼンをしたり、自分の得意なところで自利利他の活動をさせていただきたいです。
編集後記
N嶋さんの仕事は今もハードワークで、夜も帰りが遅いのですが、時間の隙間を見つけて、親鸞学徒の子供たちに国語を教えたり、仏教を聞きはじめの人が楽しめるようなプレゼンをしたりして、活躍されています。
これから親鸞聖人の教えをもっと深く学ぶために、教学にも頑張られるということで、将来わかりやすく話してくださると思いますので、応援していきたいと思います。
大阪会館でN嶋さんをみかけましたら、ぜひ声をかけてくださいね。