※アイキャッチ画像は相田みつをさんの本より引用
「儲かりまっか」「ぼちぼちでんな〜」
と、大阪の商人はこのような挨拶をすると言われていますが、
一昔前の大坂商人は「儲かりまっか」「おかげさんで」という挨拶だったといいます。
「おかげさんで」の挨拶は、親鸞聖人の教えに由来してますので紹介します。
「おかげさんで」の意味
「おかげさん」は「お陰様」ということ。
お陰様というのは人の力添えや仏への感謝の意を表すときに使われます。
大坂商人は真摯に浄土真宗の教えを求めている人が多かったので、「おかげさんで」と使うときは、「阿弥陀仏の御加護によって生かされています」という意味で挨拶していました。
なぜ「阿弥陀仏のお陰」なのでしょうか?
順境に感謝
お釈迦様は、自分に現れる幸・不幸の全ては「自業自得」であり、自分の行為が生み出したものだと教えられています。
そのため「幸せになりたかったら悪い行いをやめて善い行いをしなさい」と廃悪修善を勧められました。
しかし実地にやっていくと、「知るは易く、行うは難し」が知らされてきます。
そのため自業自得が知らされている人は、悪い運命が来た時、自分のまいた種の結果だと自分の行いを振り返り、懴悔し反省します。そして悪い行いを改め、進歩・向上しようとします。
一方、善い運命が来た時には、仏祖への感謝となり、一層努力しようとなります。
なぜならこんな悪いことばかりしているのに、善い運命に恵まれるとは「仏祖の御加護としか思えない」と感謝の心が起きてくるからです。
大坂商人の「おかげさんで」の挨拶は、自分の恵まれた環境に対する仏祖への感謝の気持ちが込められているのです。
自業自得については、下記もお読みください。
「させていただきます」の由来
「お陰様で」の言葉からさらに「させていただきます」という言葉を使うようになったとも言われています。
日本語には、させて頂きます、というふしぎな語法がある。(中略)真宗においては、すべて阿弥陀如来――他力――によって生かしていただいている。三度の食事も、阿弥陀如来のお蔭でおいしくいただき、家族もろとも息災に過ごさせていただき、ときにはお寺で本山からの説教師の説教を聞かせていただき、途中、用があって帰らせていただき、夜は九時に寝かせていただく。この語法は、絶対他力を想定してしか成立しない。それによって「お蔭」が成立し、「お蔭」という観念があればこそ、「地下鉄で虎ノ門までゆかせて頂きました」などと言う。相手の銭で乗ったわけではない。自分の足と銭で地下鉄に乗ったのに、「頂きました」などというのは、他力への信仰が存在するためである
引用:司馬遼太郎. 街道をゆく 24 近江散歩、奈良散歩
「させていただきます」は、今は語法だけ残り全国で使われていますが、近畿地方発祥の言葉です。
大阪親鸞学徒の先輩たちは、常に阿弥陀仏と親鸞聖人の御恩を感じながら、日常生活を過ごしていたのだろうと推察されますね。
編集後記
一時期、政治家やビジネスマンで「させていただきます」を使いすぎる人が多いということで話題になっていましたので、使う頻度には注意が必要ですが、日常生活の中で阿弥陀仏に心をかけていく姿勢はとても大事だと思います。
「いたずらに すぐる月日は多けれど 法を求むるときぞ少なき」私たちに、蓮如上人はこのようにご教導くださっています。
これにつけても、人間は老少不定と聞く時は、急ぎいかなる功徳・善根をも修し、いかなる菩提・涅槃をも願うべき事なり
御文章
幸いにも仏縁に恵まれ、因果の道理を聞き、人間は老少不定の身と知れば、どんな小さな善根・功徳でも修めようと心がけたいものです。
大阪会館で、真剣に阿弥陀仏の本願を聞かせていただきましょう。